ラブハンター
急いで帰った家で、スミレを思う存分抱き潰そうとしたのに。



「なんっ…」

「ご無沙汰してます、陽様」

「辰真(タツマ)…」

「陽様にお話があります」

「俺にはないから。もう家とは関係ない」

「壱成(イッセイ)様がいなくなりました」



兄貴が…消えた?



一瞬動揺した。



でも俺は、もうあの家に戻るつもりはない。



「だから何?ってか、ごめんスミレ、部屋入ってて?」

「先輩…大丈夫?」

「ん、平気だよ」



スミレを部屋にやった。



辰真は父親の秘書。



珍しく家にいた尚道が入れたのか…。



尚道がコーヒーをテーブルに置き、部屋に戻った。



「兄貴なんかどうだっていい」

「壱成様は朝比奈家を捨てたようです」

「だから何だよ。今更戻れとでも?」

「えぇ、察しの通り」

「ふざけんな!!あんな家、こっちから願い下げだ!!」

「では、仕送りを止めさせていただきます。朝比奈家を捨てたあなたに、働き口なんてないですが」



ふざけるな…。



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