ラブハンター
陽はいろいろと知ってんだろうか…。



「ケントさんって彼女いるんスよね?」

「…………」

「すげー守ってやりたいって思ったりします?」

「する」



彼女ではないけど。



若菜になにかあれば、俺が守ってやりたい。



「やっぱ好きなのかなぁ~」

「お前、女絡みか?」

「守ってやりたかったなぁ~…。だせぇ、俺」



そう言った悠大が、俺には逆にかっこよく見えた。



こんなになってまで悠大が守りたいもの。



相手の女には伝わってるんだろうか…。



「バカみてぇ、俺。なんでこんな目にあってまで…何でまだ守ってやりたくなるんだろ…」

「…………」

「ケントさんは守りたいヤツ、守ってください」



痛々しい悠大の顔が、少し泣いてるように見えた。



俺が見舞いに行ったのはこの日だけ。



5日後、顔の腫れも引いた悠大が家に戻ってきた。



「陽、俺、しばらくダンスできねぇ」

「今のうちに悠大超えとくから」

「ムリムリ」



俺に見せたあの弱みは…なんだったんだろう…。



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