ラブハンター
顔の痣が薄くなってきた悠大がキッチンでメシを作ってる。



その光景になんだか安心した。



ここは変わらずある。



悩んでも、苦しんでも。



俺の居場所はこれからもここ。



「ケントさん、泣きそう」

「あ!?」

「なんかありました?話くらいなら聞きますけど。って、話さないっスよね、俺なんかに」

「好きな女、忘れることにした。それだけ」

「ソレって、頭だけで嫌いになるってことですよね」



どんな意味かわからなかった。



その悠大の言葉を理解したのは1週間後。



俺がくるまで待つと言った若菜は、毎日俺のことを公園で待ってる。



若菜が帰るまで、ただ影から見てる俺。



なんかあったら守ってやりたいって気持ちは変わらない…。



心が…若菜を忘れない…。



どうしようもなく好きになったら…手に入れればいいってよっさんが言っていた。



手に…入れて…俺のにしたい…。



でも俺はこんなだし、いつか迷惑をかけてしまいそうだ。



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