ずっと大好き…この恋は秘密 …



翌日、台風の暴風域は関東地方をすっぽり包んでいて


朝7時過ぎ、連絡網が回ってきた。



『今日休みだって。

うちの列はみのりで終わりだから』



クラスの友達がそう言って電話を切る。


高校に入ってから連絡網もケータイで回ってくるようになった。


家電で回すのも面倒くさいけど

そんなに仲良くない子のケータイにかけるのも微妙に緊張する。


『みのりで終わり』

その言葉にみのりは少しほっとした。




…浅井さんの言った通り。





みのりは部屋の窓から
外を眺める。


昨日より強い風と雨が
木々を倒れそうなほど揺らしていた。







…この天気じゃ浅井さんも家にいるかな。


それとも

誰かと会うの?







「みのり開けて」



部屋のドアの前で母親が言った。


「いいよ、開けて」


「開けられないから言ってんの」


みのりが面倒くさそうにドアを開けると

洗濯物を両手いっぱいに持った母親の姿があった。




「みのり昨日学校の子にジャージ借りたんでしょ?

乾燥機かけたから。
朝までに間に合って良かったよ」


そう言って浅井のジャージとみのりの洗濯物を渡す。


「…今日学校休みだし」


「はぁ?

…もう、そうゆう事はもっと早くに」


「今電話きたんだもん」


みのりが口を尖らせながら
部屋のドアを閉めた。



「ってゆうか乾燥機って…

縮んでないよね?!」


独り言を言ってベッドにジャージを広げる。







…よくわかんないな

でもこんなもんだったような…


…ってゆうか着てみないとわかんないか。





みのりがジャージに袖を通す。



指先が隠れるか隠れないかの長さに

安心して胸をなでおろした。



「よかった…

縮んでない」






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