ずっと大好き…この恋は秘密 …



その夜、

3回目のリトルマーメイドが鳴った。



みのりが驚いた表情でケータイを見つめて…

少し戸惑いながら電話に出た。




…会ってから

まだ2日しか経ってないよ?


…なんで?





「…はい」


『あれ?寝てた?』


浅井がそう聞いたのは
みのりの声が少しかすれていたからだった。


「いえ…。

ちょっと風邪気味で…」



長い間止まらなかった涙のせいで

瞼が熱かった。


浅井についた小さな嘘に
みのりが少し顔を歪める。



『月曜のせいか?

ごめんな、オレが誘ったせいで』


浅井の声が…

体中に行き渡るのを感じた。



尖っていた気持ちが

穏やかになる。



「あ、違います。

あたし風邪引きやすいだけなんで気にしないでください」


『…なんか元気ないな。

風邪のせい?』


浅井に気持ちを見透かされたように感じて

みのりが大げさに答える。


「そんな事ないですよ?

すっごく元気です。
体力有り余ってる感じです」


明るい声を出すと

電話の向こうで…
浅井の笑い声が聞こえた。


『まだ18だもんな(笑)』


「浅井さんは…いくつですか?」


みのりの言葉に浅井が少し黙り込む。


『…いくつだと思ってた?

ってなんか女みたいだな(笑)』


苦笑する浅井につられてみのりも笑みをこぼす。


泣いたすぐ後でも笑える自分がなんだか不思議で…

でもうれしい。



「う〜ん…

25?」


『…26』


「あ、よかった。

28くらいかなぁって思ったけどちょっと若めに言っといたんです(笑)

でも20…4くらいに見えますよ」


電話の向こうで浅井が大きな声で笑った。


浅井が笑った理由は
みのりにはよくわからなかったが…


浅井が笑ってる。


ただそれだけでみのりもうれしかった。



電話を耳にあてながら…

みのりが悲しそうに微笑んだ。








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