ずっと大好き…この恋は秘密 …
始まりのベルが鳴り
浅井が12番車に向かう。
「手帳かして」
「はぁい」
教習生の顔をちらっと見て
手帳に目を落とす。
『清水 みのり』
そう書かれた手帳に浅井が一瞬動揺した。
…みのりって
佐倉と同じ名前だな…
車に乗り込むと
運転席から強い香水の匂いがした。
「せんせぇ、名前なんていうの?」
明るい茶髪で厚い化粧の清水に浅井は顔をしかめた。
「敬語使え、敬語」
「え〜、今時使わないし。
仲良しげに見えていいじゃん?
ってゆうかせんせぇ、若いね!
今度から指名しちゃおっかなぁ」
懲りる様子をこれっぽっちも見せない清水に
浅井は小さくため息をつき
窓を開けた。
きつい香水の香りが
薄まっていく。
佐倉はちゃんと敬語使ってたよなぁ…
…何回か敬語じゃない事もあったけど…
『メールじゃダメ…?』とか…
『どこ行くの…?』とか…
たまにだと…
なんかかわいく感じたり…
…計算か?
つぅか…
オレやべぇな…
「せんせぇ、まだまっすぐ?」
「あ?
あぁ、2つ先右」
清水の声に浅井が前方に目を向ける。
「あ…」
前を走る車を見て
浅井が声を出した。
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