ずっと大好き…この恋は秘密 …



急に頭を上げキョロキョロしだした浅井を見て

悟が不思議そうに声をかける。



「遼兄?」


浅井は周りを探したが自分の荷物が見あたらなかった。


「悟、オレの荷物は?」


「遼兄何も持ってなかったじゃん。

あ、タバコ?

ダメだろ、病室じゃ」


「ちげぇよ!

ケータイ!あと財布もあったはずだろ」


悟は

「あぁ、そういえばっ」

と思い出したようにベットの下にあった紙袋からケータイと財布を出した。



「ただ事故の衝撃で使えなくなってるよ。

財布は無事だけど…」


悟に手渡されたケータイは

どこを押しても何も映し出さなかった。


「まじかよ…」





番号もアドレスもメモなんかとってねぇよ…


佐倉に連絡できねぇじゃん…






浅井がもう一度頭を抱えた。



「なに?

誰かに連絡?」


「…あぁ」


「姉ちゃんにはさっき一応電話したよ?

事故ったけど軽傷だって」


浅井は大きなため息をついて悟を見る。


「…おまえの姉ちゃんにじゃねぇよ」


「つぅかさ、姉ちゃんもこんな時くらい来ればいいのにな!」


沙紀に文句を並べる悟の隣で

浅井は片手で頭を抱えながら
風に揺れるカーテンを見ていた。






…佐倉


ごめんな…




待ってろよ。


どうにかするから…









浅井は壊れたケータイを握りしめた。





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