ずっと大好き…この恋は秘密 …
駐輪場で自転車の鍵を外した時
校門から若い男の声が聞こえた。
「ちょっと聞きたいんだけどさ〜…」
みのりと同じ歳くらいの
少し軽そうな男が校門を通る生徒を引き止めて何か聞いてるようだった。
…なんかの勧誘?
やだな…通るの…
みのりが少し憂鬱になりながら
自転車を押して校門を通る。
人数が多い時を狙って出たのに
よりによって声をかけられ
みのりが顔をゆがめながら男の顔を見た。
目がパッチリしていて人懐っこそうな…
なんだか憎めない男の顔に
みのりが少しだけ笑顔を作った。
「あのさ、『佐倉みのり』って子知らない?
3年生なんだけど…」
…あたし?
なんで?
金髪の髪を立ち上げている目の前の男を
みのりは少し見た後…
笑って答えた。
「…すみません。
知りません」
「そっかぁ、ありがとっ」
…こんないっぱいピアスしてる知り合いなんか絶対いない。
男の耳に10個くらいあるんじゃないかと思うほどのピアスが揺れていた。
笑ってお礼を言う男に
みのりも愛想笑いして自転車に乗ろうとした瞬間、
後ろから友達の声が響く。
「あ!みのり〜、バイバ〜イ」
思わず振り向いて手を振ったみのりと
ピアス男の目が合った。
「…みのり?」
みのりは急いで自転車にまたがろうとしたが
…遅かった。
「佐倉みのりちゃん?」
行き先に立ちはだかったピアス男が目を輝かせていた。
みのりが黙ってうなづいた。
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