ずっと大好き…この恋は秘密 …
「…ケータイ、事故で壊れたから佐倉からメール届いてないんだ」
みのりを抱きしめたまま
浅井が言う。
みのりはドキドキがうるさくて声がうまく出せずに…
ただ黙ってうなづいた。
「だから聞かなかった事にするからな?
佐倉の『サヨナラ』…」
昨日の今頃は公園にいた。
その時の気持ちを思い出すだけで涙が出そうだった。
泣きながら送ったメール…
心とは裏腹なメール…
言いたくなかった『サヨナラ』…
体育館から聞こえたバスケットボールの音でさえも思い出せる。
涙が止められずに
濡れていくアスファルトがぼやけて見えなくなって…
それでも浅井さんからの連絡を待ってケータイを握っていた。
あたしの『サヨナラ』は…
浅井さんには届かなかったんだね…
届かなくて…
よかった…
みのりは少し目に涙を浮かべて頷いた。
浅井がみのりの肩を持ち
密着した体を少し離した。
見上げたみのりと目が合うと
ゆっくりみのりに顔を近づける。
それに気づいたみのりが
困ったようにうつむいた。
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