ずっと大好き…この恋は秘密 …
やきもち
「じゃあそろそろ帰ります」
時計が17時を回った頃みのりが言った。
「みのりちゃん、送るよ」
「ほんと?ありがとっ。
…また明日来てもいいですか?」
視線を悟から浅井に移し
少し恥ずかしげに聞くみのりに
浅井が微笑む。
「当たり前だろ。
気をつけてこいよ。
…悟、佐倉に変な事すんなよ?」
少し冗談まじりに言った浅井に
悟がニヤニヤしながら答える。
「…例えばチュウとか?
オレ、遼兄みたいに
あんな大人のチュウできないからなぁ(笑)」
「…覗いてんなよ、最悪…」
うなだれる浅井に悟は元気に手を振り
「また明日来るねっ」
と言い病室を出た。
みのりも赤い顔をしながら小さく手を振り
悟の後に続いた。
エレベーターに乗ったところで
悟がニコニコしながらみのりに話しかける。
「遼兄の事よろしくね?」
さっきのキスを見られていた恥ずかしさから
みのりは悟の目を見ないで頷いた。
「10月20日ね、遼兄の誕生日なんだ。
去年は2人でパーティーしたんだけど、今年はみのりちゃんも来るでしょ?」
「あ、うん。
行っていいなら…」
20日かぁ…
1ヵ月切ってるし…
「いいに決まってんじゃん!
…彼女なんだからさっ」
“彼女”
その響きにみのりがうれしさから顔が緩んだ。
なんだかさっきのことが全部嘘のような
夢のような気分だったのを
悟の言葉が確信させてくれる。
…浅井さんと
キスしちゃったんだ…
唇を触るみのりを
悟がからかって、駐車場まで2人で走った。
「ごめん、降参(笑)」
そう笑う悟の顔はやっぱり憎めなくて…
みのりは笑ってうなづいた。
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