ずっと大好き…この恋は秘密 …


「え…」


男の言葉にみのりが戸惑いを浮かべながら
黙った。


さっき知り合ったばかりの男は…

悪い人ではなさげだけど
すぐ信用するのも…


みのりが頭を悩ませていると
男が笑う。


「オレの事怪しんでるでしょ(笑)

超顔に出てるし(笑)」


「…すみません」


「や、いいよ。

駅の近くに新しくでっかい本屋できたろ?

あれオレんち。
ちなみにバイト募集中」


男の言葉に
みのりの頭に近所にできた大きな本屋が浮かぶ。


まだ行ったことはないけど
何回かお店の前を通って
落ち着いた雰囲気に興味を持っていた。



「…そうなんだぁ」


みのりが感心してうなづくと
男がにっこり笑って言う。


「オレが紹介すれば面接なしでバイトできるよ?」


「あ、でもあたしがバイトしたいのは2日過ぎてからだし…」


2日は就職の試験がある。


高校からの推薦であればほぼ受かるとはいえ

試験前からバイトするのにはさすがに抵抗があった。


「じゃあする気になったら連絡ちょうだい。

店に電話してよ。


あ、オレ、圭司っていうんだけど…」


圭司の差し出したお店の電話番号を受け取りながら

みのりが笑顔で答える。


「佐倉です」



「下の名前…」


「佐倉!」


圭司の声と重なってもう1人の声が聞こえて…

みのりは声のした方向を振り向いた。




そこには

少し怖い顔をした浅井の姿があった…






.
< 156 / 475 >

この作品をシェア

pagetop