ずっと大好き…この恋は秘密 …
6..誕生日の魔法
キス魔とのぞき魔
病室までの間、浅井は何も話さなかった。
まだ少し不機嫌な浅井の後ろ姿を
みのりは見つめて歩いた。
今だに信じられない浅井との関係を
浅井の手の暖かさが実感させてくれる。
『知り合いじゃなくて彼氏』
みのりが躊躇した言葉を
はっきりと言ってくれたことがうれしくて…
『大好き』
思わず声に出そうになりながら
何度も心の中で繰り返した。
病室に入ると悟が待っている事に気づいた。
「あ、みのりちゃん見つかったんだ」
「あぁ、ロビーにいた」
浅井はそう言うと意地悪げにみのりをチラッと見た。
浅井の視線に少し体をすくませたみのりを見て
浅井は少し笑いみのりの頭をなでる。
「…あんま心配させんな」
浅井の優しい笑顔にみのりがうれしそうに頷いた。
浅井の繋いでいた手がほどけても、
まだ暖かさの残る手をみのりがバレないように見つめた。
…~っ
なんかもうホントに好き…
大好きだよ…
「にしても、遼兄ってキス魔だったんだね」
その言葉に浅井とみのりがいっせいに悟を見る。
「さ、悟くん…
さっきのも見て…た?」
恐る恐る聞いたみのりに
悟がにっこり笑って答える。
「だって遼兄が遅かったからさ。
わざとじゃないよ?」
無言で頭を殴った浅井に
悟の顔が歪んだ。
「いってぇっ…
暴力反対っ!」
「覗いてんじゃねぇ!」
まるで本当の兄弟みたいにケンカする2人の姿に
みのりが笑った。
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