ずっと大好き…この恋は秘密 …
終わらない関係
翌日、浅井は仕事が終わった後
アパートの近くの喫茶店にいた。
ファミレスとは違って少しアンティークっぽい雰囲気の店内はコーヒーの匂いで包まれていた。
普段はあまり来ないお店。
わざとそうゆうお店を選んだ。
お客さんも少ない店内に、新たな客を知らせる小さなベルが鳴った。
浅井が目を向けると…
浅井を見つけて少し戸惑った様子の沙紀の姿があった。
浅井が少し手をあげると
しばらくした後、沙紀がやっと歩き出し浅井の向かいに座る。
「…久しぶりだな」
先に口を開いたのは浅井だった。
「…悟に頼んだのね」
薄いピンク色のカーデガンに白いミニスカート。
沙紀の着てきた服は浅井の知らない服ばかりで
1年ぶりの沙紀自身にもあまり親近感を持てなかった。
今日、沙紀は悟に呼び出されていたが
悟に頼んだのは浅井だった。
「沙紀はオレが呼び出したんじゃ来ないかと思ってさ」
「…1年以上もほっといたくせに何の用?」
浅井は沙紀の言葉に少し驚いた様子で答える。
「ほっといたって…
お前が勝手に出てったんだろ?
それに…
お前だって一度も連絡してこなかったしお互い様だろ…」
「あたしが出て行くように仕向けたのは遼太でしょ?!」
少し感情的になった沙紀の言葉にしばらく黙った後、
浅井が落ち着いた声で話し出す。
「…別にケンカするために呼び出したんじゃないんだ。
話があって…」
「離婚なら…しないから」
浅井の雰囲気に話の内容を悟ったのか、
沙紀の口から先に『離婚』という言葉がでた。
「…でもおまえだって今付き合ってる奴いるんだろ?
オレ達、最初から好き同時で結婚した訳じゃないし…
…や、それはオレが悪いんだけど…
でもやっぱり間違ってただろ…?」
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