ずっと大好き…この恋は秘密 …
「佐倉っ、大丈夫か?!」
浅井の言葉に動揺した瞬間、
泡のついたお皿が手から滑り落ちてしまった。
床ではなく流し台に落ちただけだったが
ガシャン!と音を立てて割れた。
呆然としていたみのりが浅井の言葉に我に返る。
「あ…ごめんなさい!」
慌てて破片を拾おうとしたみのりを浅井が止めた。
突然手を握られみのりの胸が高鳴る。
「皿なんかどうでもいいから…
手、切れてる。
絆創膏持ってくるからソファに座ってろ」
みのりがうなづいたのを見てから浅井が部屋をでた。
みのりが言われたとおりにソファの端っこに座る。
『悟みたいのが佐倉のタイプ?』
本気で聞いたの…?
あたしが浅井さんを好きだって知ってるのにわざと聞いたのかな…
やっぱり迷惑って事…?
浅井さんにとってはどうでもいい言葉だったのかもしれない。
軽い会話のうちの一つだったのかもしれない。
だけど…
そんな事聞かないで。
あたしのタイプなんて…
『浅井さん』に決まってるのに…
そんな残酷なこと聞かないでよ…
浅井の戻ってくる足跡が聞こえて
滲んでいた涙を拭いた。
…浅井さんの気持ちがわからないよ。
浅井が部屋に入ってきた気配を感じても
みのりは振り向けなかった。
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