ずっと大好き…この恋は秘密 …
リビングに入るとソファにみのりの姿が見えた。
浅井がソファにドカッと座るとみのりが少し体をすくませた。
「…手、出して」
浅井の言葉にみのりは黙って切った手を出す。
消毒液を傷に吹きつけながら浅井が口を開いた。
「…こないだ、沙紀と会ってきた」
その言葉にみのりが顔を上げる。
浅井は消毒液がこぼれないように
ティッシュで傷口の周りを押さえながら続けた。
「離婚して欲しいって言ってきた。
あいつわがままだからまだ納得してないけど…」
「…そうですか」
みのりは何を言ったらいいのか分からずに
あいづちだけ打つ。
「…でもちゃんとけじめつけるから。
だから佐倉…」
ふいにみのりと目が合い、
浅井は開いていた口を閉じた。
『だから佐倉、
それまで待ってて欲しい』
…言えるはずがない。
そんな無責任な事、
オレが言う資格なんか…
ない。
みのりの視線を感じながら
浅井は目を合わせることが出来なかった。
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