ずっと大好き…この恋は秘密 …



リビングに入るとソファにみのりの姿が見えた。


浅井がソファにドカッと座るとみのりが少し体をすくませた。


「…手、出して」


浅井の言葉にみのりは黙って切った手を出す。


消毒液を傷に吹きつけながら浅井が口を開いた。



「…こないだ、沙紀と会ってきた」


その言葉にみのりが顔を上げる。


浅井は消毒液がこぼれないように
ティッシュで傷口の周りを押さえながら続けた。


「離婚して欲しいって言ってきた。

あいつわがままだからまだ納得してないけど…」


「…そうですか」


みのりは何を言ったらいいのか分からずに
あいづちだけ打つ。



「…でもちゃんとけじめつけるから。

だから佐倉…」


ふいにみのりと目が合い、

浅井は開いていた口を閉じた。







『だから佐倉、

それまで待ってて欲しい』




…言えるはずがない。



そんな無責任な事、

オレが言う資格なんか…




ない。







みのりの視線を感じながら

浅井は目を合わせることが出来なかった。



.
< 199 / 475 >

この作品をシェア

pagetop