ずっと大好き…この恋は秘密 …

悲しいキス



「みのりちゃん」


本屋に自転車を置き
従業員入り口から店内に入ろうとしていたみのりを店長が止めた。


「おはようございますっ」


「おはよ〜。

1週間ぶりくらい?」


店長がみのりに追いつき
2人で並んで歩く。


店長のヒールの音がみのりの背筋を伸ばさせる。


「金曜日から来てなかったから…

それぐらいです。

すみません、土日休みたいなんて無理言っちゃって…」


「ううん、全然(笑)

普段たくさん入ってもらってるし気にしないで?」


ウインクする店長にみのりも笑顔を返す。


店長はとても気さくで可愛らしい人で
圭司が頭が上がらないのもすぐに納得できた。



「そういえば先週の頭くらいに

『友達がここで働いてるから割引して』とか言ってきた非常識なお客さんいたでしょ?」


「あぁ、はい(笑)」



みのりが直接接客したわけではなかったが

あまりの常識外れな発言に面白がったバイトが
みんなに噂を流していたから
みのりの耳にも入ってきていた。



「あの子、圭司の友達らしいの。

もうショックでショックで…


圭司は交友関係広いけどあまりいい友達いないのよね…

彼女もいつも派手だし…派手好きなのかしら。


しかもコロコロ変わるし…」



ヒールをコツコツならしながらも

その表情はすっかり母親で…

なんだかアンバランスに感じた。



みのりが少し笑うと店長の視線がみのりに向けられる。





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