ずっと大好き…この恋は秘密 …
「佐倉じゃん、
久しぶりだな」
従業員室で圭司と鉢合わせになり
みのりが跳ね上がった心拍数を必死に落ち着かせる。
「…久しぶり」
『圭司くんは別にあたしを好きじゃない』
『言いふらすような悪い人でもない』
心の中で何度も繰り返す。
「5連休もとって彼氏と何してた?」
なんとなく引っかかる圭司の言葉をなるべく自然に返した。
「5連休って言っても学校もあるしね(笑)
友達の誕生日パーティーはしたけど」
「友達ねぇ…」
普通の会話かもしれないが
今のみのりにはいちいち気に障ってしまう。
「そ。
友達と3人で。
楽しかったよ〜」
不自然じゃないように満面の笑みを圭司に向けると
圭司が鼻で笑った。
「…何?」
「いや、別に(笑)」
…やっぱり圭司くんって嫌いなタイプかも。
みのりが憎たらしくしか見えない圭司の顔から目を逸らした。
「そういやさぁ
『浅井』とか言ってたよな?
佐倉の彼氏もどき」
圭司の口から発せられた
『浅井』の言葉にみのりの動きが止まる。
「…別に彼氏じゃないよ。
知り合いなだけ」
圭司の不敵な笑みに
少し警戒したみのりは嘘をついた。
普段、嘘なんてつきなれてないのに
平気な顔でいられる自分が不思議だった。
「またまたぁ(笑)
オレ見ちゃったんだけど?
先週だっけなぁ?」
少しニヤリと笑いながら言う圭司の言葉にみのりの思考回路が完全に止まる。
「車ん中でキスしてたじゃん?」
『悪い人じゃない』
そう言い聞かせていたはずなのに
目の前で笑う圭司を怖いとしか思えなかった。
言葉を失って怯えた目で見つめるみのりを
圭司が口の端をあげて見つめ返した。
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