ずっと大好き…この恋は秘密 …
「みのりちゃん?」
レジの後ろで注文を受けた本の確認をしていると店長に声をかけられた。
「はい?」
「…ちょっと来て」
振り向いて少し笑顔を作ったみのりを見ると
店長がみのりの手を引き従業員に入った。
その場所にもう圭司の姿はなく…
みのりが胸をなでおろす。
「…何かあったの?」
店長がみのりの腕を離すと
心配そうに言った。
店長はとても信頼できるし
同性として見ても尊敬できる。
何を相談してもきっと受け止めてくれる。
だけど…
圭司との事はさすがに言えなかった。
「…いえ」
「…でもそんな泣きはらした顔してるじゃない」
自分の子供のように心配してくれる店長に
また涙が出そうになるのを必死でこらえた。
「…圭司くんと
ケンカしちゃって…」
やっぱり本当の事は言えなくて少しだけ嘘をついた。
「どうせ圭司が悪いんでしょ?
もぅ…あの子は本当に…
ごめんね、みのりちゃん」
「いえ…」
店長の顔は圭司とどことなく似ていて
目が合わせられなかった。
圭司にキスされたこの場所では…
「…みのりちゃん、今日はもういいよ。
帰って?」
「え…でもそうゆう訳にはっ」
店長の言葉にみのりが首を振る。
「ううん、いいから。
…どうせ圭司がみのりちゃんが嫌がるような事、何かしたんでしょ?」
その言葉にみのりは返事ができなかった。
黙ってうつむくみのりを見て
店長が申し訳なさげに笑う。
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