ずっと大好き…この恋は秘密 …
「…よく来たじゃん。
昨日の今日で」
少し笑いながら従業員室のドアを閉める圭司を
みのりは睨みつけた。
そして
圭司の口の脇が少し切れている事に気づく。
「…それどうしたの?」
みのりが傷を指差して言うと
圭司が思い出したように話し出した。
「佐倉が母さんにチクったんだろ…
すげぇ怖い顔して殴られたんだよ」
みのりは圭司の言葉に少し笑ってから
また真面目な顔をして圭司の前に立った。
「本当ならあたしだって殴ってやりたいけど…
謝ってよ。
それで許してあげるから」
みのりの言葉に少し驚いた顔をした後
圭司が口を開く。
「…悪かったよ」
圭司の言葉を聞いて
みのりは圭司から目を逸らした。
圭司の真剣な目は…
やっぱり少し苦手だから。
嫌でも店長から聞いた圭司の悲しい過去を思い出してしまうから…
「…もう絶対にしないで」
一言だけ言って部屋を出た。
部屋を出てから
自分が少し緊張していた事に気づいた。
なんで圭司くんは
あんな真剣な目をするんだろ…
男の人の真剣な目ってみんなあんなに恐いのかな…
みのりの頭に
ふと昨日の浅井の顔が浮かぶ。
圭司を殴りに走り出しそうになった時の浅井の真剣な顔が…
…本当にやきもちやきだよね
好きでも何でもないあたしにすらやきもち妬くなんて…
それでも
うれしかった…
「…ばかみたい」
自分への言葉なのか
浅井への言葉なのか…
小さくつぶやいた後
明るくライトアップされている店内に続くドアを開けた。
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