ずっと大好き…この恋は秘密 …
「そうだけど…
浅井さんが何考えてるのかよくわかんなくて…」
ドーナツ屋は半額クーポンを持ったお客さんでごった返していて
みのり達の話も賑やかな店内では他の客に聞こえるはずもなく
みのりは安心して話せた。
「あたしの事…
好きなのかなって思う時もある。
でも…浅井さんは何も言ってくれない。
期待するような言葉ばっかりで肝心な事は言わないんだ」
「…聞けないの?」
里奈の言葉にみのりは静かにうなづいた。
「多分好きじゃないから…
だから聞けない。
聞いてそう言われたら…
もう最後になっちゃうもん…」
微妙な関係に里奈も口を結んでいた。
『そんないい加減な男やめなよ』
里奈の閉じたままの口がそう言ってるような気がした。
『いい加減』なんじゃない。
ただ『優しい』だけ…
優しさゆえに『沙紀さん』と離婚できなくて…
優しさゆえに
あたしを拒否できない。
それがいい加減なんて思わない。
思わないけど…
なんとも思ってないのに
期待させるような言葉をくれたり
抱きしめてくれたり
キスしたり
それは『優しさ』じゃないよ…
浅井さんは
あたしに何を望んでるの?
このままの曖昧な関係?
それとも
『最低っ!』って
あたしが浅井さんを嫌いになること?
それを望んで
あたしを抱きしめるの…?
浅井さんの気持ちが
わからない…
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