ずっと大好き…この恋は秘密 …


月曜日の放課後を浅井の部屋で過ごすのが
少しだけ日課になっていた。



浅井は
月曜日は必ず悟の車を借りてみのりを学校近くの公園まで迎えに行った。


悟の車ならみのりの自転車を積めるから

月曜日の朝、わざわざ早起きして悟のアパートまで車を取り替えに行く。



浅井のそんな優しさが
みのりの胸を余計複雑にしていた。




自分の事を…

少しは好きなんじゃないか。



そんな事を考えてしまった後

頭を大きく振る。



「車買い換えようかなぁ…

そうすればわざわざ悟に借りなくてもいいしな。


会いたくなったら
いつでも迎えに行けるし」



アパートに向かう途中
浅井が前を見たまま言った。



みのりは何も言わずに微笑んだ。








うれしい言葉も真に受けない。



…こないだ決めた。




浅井さんは嘘をつくようには見えない。


今まで言った事が嘘だとも思ってない。




浅井さんは

そんな人じゃないって知ってるから…




だけど…

浅井さんの言葉を全部信じたら




いつか浅井さんを『嘘つき』って思っちゃう…




浅井さんの優しい言葉に…

あたしの本音が出ちゃいそうになる。





『いつ離婚するの?』


『それとも離婚なんて嘘?』




汚いあたしの本音が…



浅井さんを傷つけるあたしの気持ちが…






気をつけていないと

口をついて出ちゃいそうになる。






だからお願い…


そんな風に笑わないで?





そんな優しい目で



あたしを見ないで。








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