ずっと大好き…この恋は秘密 …
8..愛してるから…

たったひとつ




浅井が教習所の喫煙室に入ると

渡辺がタバコを取り出すところだった。



「浅井も次空き時間?」


「はい」


軽く笑顔を返してタバコとジッポを取り出す。


その様子を見て渡辺が声をかけた。



「おまえジッポ買ったの?

今までライターだったろ」


渡辺の鋭い突っ込みに浅井が落ち着いて答える。


「ちょっと知り合いに貰ったんですよ。

あ、つけますよ」


浅井が差し出したジッポの火が
渡辺のくわえたタバコに白い煙を立たせる。


「知り合いって…


あの、何とかみのりって子じゃないだろうな(笑)」


ふいに渡辺の口から出た『みのり』の名前に浅井が思わずタバコを落とした。


「最近、やたらおまえを指名してるだろ?

騒がしいし困るよなぁ」



渡辺の言う『みのり』が清水だと気づき

浅井がほっとしたように笑みをこぼす。


「まぁ、卒業するまでですからね」



タバコを拾いあげて火をつける。


タバコの煙を吐きながら…

手の中のジッポを握りしめた。




そんな時、喫煙室のドアがノックされた。





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