ずっと大好き…この恋は秘密 …
『名前くらい教えてくれてもいいじゃないっ
…教えてくれたら別れてもいいよ』
沙紀の言葉に浅井がため息をつく。
「教えたらどうすんの?
どうせ調べて会いに行って嫌みでも言うんだろ?
お前のする事なんてだいたい想像がつくよ」
沙紀は学生時代から男に囲まれていたから
女子からは割と反感を買っていた。
たまに意地の悪い女子に呼び出されたりしていたが…
泣かされるのは呼び出した方だった。
美人でおとなしそうな外見ではあったが
実際は気が強く、饒舌で口が悪かった。
『…そんな大事なんだ?』
「あぁ」
『…離婚届は書かないから』
電話が一方的に切られた。
浅井も電話をきり
小さくため息をつく。
頭をかきながらその場にしゃがみこんだ。
沙紀が結婚にこだわる理由が見つからなくて…
少し困惑していた。
オレを困らせたいだけか…?
それともオレへの嫌がらせ?
気持ちがないのに結婚したオレへの…
でも『結婚してっ』て言い出したのは沙紀だし…
…まぁ、飽きっぽいやつだしもう嫌いになったのかもな。
それならそれでいい。
嫌うだけ嫌ってくれれば…
佐倉が現れた途端、沙紀を切り捨てる。
その行動がどうしても最低に思えて…
沙紀をなかなか切り捨てられない。
でもそれが佐倉を傷つける…
最低な方程式…
解き方が
オレにはわからない…
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