ずっと大好き…この恋は秘密 …
「佐倉…」
俯いたまま何も言わないみのりに浅井が声をかける。
「…なんでですか?
あたし…何かした?」
みのりが静かに顔を上げた。
浅井を見つめる瞳が…
濡れていた。
「…いや、佐倉は何も悪くないよ。
オレが…」
「離婚なんかしなくてもいいからっ…!」
浅井の言葉をみのりが遮った。
みのりの目から涙がポロポロこぼれ落ちる。
「好きになんてなってくれなくていいからっ…
沙紀さんの次でも…
何番目だっていいから…
会うのが面倒なら会えなくても我慢するし、
電話だってできなくても…」
「佐倉っ!」
狭い車内に浅井の声が響く。
その声に
みのりが体をすくませた。
みのりの泣き顔を見ている事ができなくて…
浅井がみのりから目を逸らす。
「ごめん…
もうダメなんだ…」
つらそうに顔をしかめる浅井の横顔に…
みのりの涙が溢れ出す。
「やだ…
やだ、離れたくない…
一緒にいたいよ…
お願いだから…」
みのりの声に
浅井は答えなかった。
みのりの顔も見ない。
口を開いたら
顔を見てしまったら
みのりを抱きしめてしまうから…
隠しきれない本当の気持ちが出てしまうから…
だから何も言わなかった。
…言えなかった。
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