ずっと大好き…この恋は秘密 …
みのりの言葉に圭司が呆然として…
そして少しだけ笑う。
「…母さんにでも聞いた?
別にどうでもいいけど」
悲しそうに笑う圭司の顔にみのりの体がすくんだ。
圭司を見ていられなくなり…
みのりが背中を向けて走り出す。
…あたし
何言った?
最悪だ。
圭司くんから逃れるために
圭司くんの触れられたくない事に触れた。
圭司くんを傷つけた…
傷ついてるからって
誰かを傷つけていい訳じゃないのに…
そんな当たり前の事もできてない。
こんな自分勝手な女…
振られて当然だ。
従業員室のドアを閉めて
そのまま扉に体重を預ける。
ドアの隙間から少しだけ風が入ってきて背中にあたった。
…浅井さんより大きかった。
抱きしめられていた圭司の胸の暖かさが…
まだ背中に残っていた。
匂いが違う。
腕の強さが違う。
体の大きさが違う。
抱きしめ方が違う…
浅井さんじゃない…
浅井さんじゃないと何もできない。
何もしたくない…
また目が熱くなって…
涙が流れる。
「あ…さいさ…っ」
声にならないくらいに小さな声が漏れた。
サヨナラなんて言わないで…
まだこんなに好き…
大好き…
だからお願いっ…
あたしを嫌いでもいいから…
浅井さんに
会いたい…
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