ずっと大好き…この恋は秘密 …



驚きを隠せないみのりに清水が声をかける。


「黒っぽいジッポなんだけどさ、

なんか一番大切な人からもらったんだって言ってて…」


「…少し小さめの?」




ジッポを選ぶ時、

みのりは普段浅井が胸のポケットにライターを入れてたのを知ってたから、

普通のより少し小さめのデザインのものを選んでいた。





浅井さん…

あたしがあげたの以外持ってないよね…?


『初めて』って言ってたよね?




「そうそう!

やっぱ前から持ってるやつなんだね〜。

なんかすごく大切そうにしてたでしょ?


それ見たらあたし何も言えなくなっちゃって」






あたしの耳がおかしいの…?


あたしが都合のいいように解釈してるだけ?



でも…

あたしのあげたジッポを大切にしててくれて…




浅井さん…


『一番大切な人』って…





何…?







「なんかつらそうな顔してたから話しかけたんだけど、
浅井さんあたしに笑ってくれたんだ。

すごくうれしかった。


振られちゃったけど好きになってよかった」



清水のすっきりした笑顔に…

目が奪われた。



どうしてそんな風に笑えるの?


振られたのになんで?



清水の笑顔は強がってるわけでもなく、

本当に心からの笑顔だった。









あたしは

多分あんな風に笑えてない。


自分でもわかる。




浅井さんと…

ちゃんと話さなきゃ
あんな風には笑えない。




恐がってちゃ進めないんだ…








清水の笑顔が

みのりの背中を押していた。








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