ずっと大好き…この恋は秘密 …



「遼兄っ!

いい加減シャキッとしろよっ」


火曜日、

自分の家のように勝手に上がり込んできた悟が浅井の背中を叩いた。


「…いてぇよ。

別に普通にしてんだろ。

大体おまえには迷惑かけてないだろ」


浅井が面倒くさそうに言う。


「強がったって分かるんだよ。

そんなに好きならなんで振ったりしたんだよ」


ズバズバと痛いところばかりを突く悟に
しばらく黙った後浅井が口を開く。


「好きだからだろ…

佐倉を結婚してるオレに縛りつけとくわけにはいかない…

沙紀と離婚出来ない限り、
ずっとこそこそ付き合わなきゃならない。

デートだって周りを気にしてそんなに出来ないし、
佐倉はオレを彼氏って紹介する事も出来ない。



そんなの…

佐倉が可哀想だろ」



一点を見つめたまま言う浅井に…

悟が口を開く。


「遼兄はいっつもそうだよな。

離婚しないのは姉ちゃんのためで、
別れたのはみのりちゃんのため。

2人とも大事になんかできないんだよ!

本当に大切な女守りたかったら誰かを犠牲にしなきゃなんない時もあると思う。

第一、遼兄はどうしたいんだよ?


いっつも相手の事ばっかで…

周りの事とか結婚してる事とか全部どうでもよくなるくらい貫きたい気持ちとかないのかよ?!」



真っ直ぐに浅井を見据えて言う悟をしばらく見つめた後

浅井が目を逸らして笑った。



「…生意気なんだよ(笑)」


その言葉に悟の文句が飛んできたのを

浅井は笑いながら聞いていた。







…その通りだよ。


大切にしたいのはたった1人なのに。


誰も傷つけなくないなんて無理なんだよな。



オレが自分の気持ちを抑え込んで、それでうまくいくなら…


沙紀と結婚してから
ずっとそう思ってたけど…








オレも

もう限界だ…







佐倉がいないと


だめなんだ…










佐倉に


会いたい。









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