ずっと大好き…この恋は秘密 …


バイトが終わってから
みのりはチョコレートケーキを焼いた。


浅井がおいしいと褒めてくれたケーキ。



甘いキスをしたケーキ…



色々な浅井との会話を思い出しながらケーキを焼いた。


もう全部が思い出になってしまっている事が悲しかった。




今日のために用意した箱にケーキを入れる。


前焼いたケーキより一回り小さいケーキ。


1人でも食べきれるサイズ。





受け取って貰えなかった時

自分1人で食べきれるように…






何も残したくないから…






きれいにラッピングしてからみのりは家を出た。


自転車を出そうとした時
家の前に圭司の車が止まっている事に気づいた。


運転席の圭司がみのりに気づくと窓を開ける。



「乗っけてってやるよ」


圭司がすぐに窓を閉めてしまったため
断ることもできずに…


みのりが戸惑いながら助手席に乗った。


途端に圭司の香水の匂いが広がる。








浅井さんに振られて圭司くんと付き合ったら…

いつかこの匂いが落ち着くようになるのかな…



ふいにそんな事を思ってうつむいた。







そんなあたし…


想像もできない。







無言の圭司にみのりも何も話さなかった。


静まり返った車内に車のラジオだけが聞こえる。




次々にリクエストされるクリスマスソングが

少しだけ気持ちを高めてくれた。




今日だけは

日常ではないような…




不思議な雰囲気がみのりを包んでいた。






浅井との奇跡を願いながら…

みのりは圭司の車に揺られた。







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