ずっと大好き…この恋は秘密 …
「里奈、もう今日の教習終わったんでしょ?
…待っててくれたの?」
里奈の隣に座りながらみのりが聞く。
「うん。
あたしがいた方が少しは気が紛れるでしょ?」
笑顔の里奈に頷きながら浅井の席に目を向ける。
「前ね…
ここから浅井さんを覗き見してたんだ。
まだこんなに好きじゃなかった頃…」
『好き』って気持ちに気づいたばかりの頃。
もう一度ここに来るなんて思わなかった。
思い出すように言うみのりに里奈が相づちを打つ。
「へぇ…」
みのりの想いの重さは里奈にも伝わっていて…
里奈も特には話しかけなかった。
2人で浅井の机を見つめていた時、
終業のベルが鳴った。
背筋が伸びるような音。
先生が続々と建物の中に入ってくる。
先生出入り用のガラス戸のドアに目を向けた時…
浅井の姿が目に飛び込んできた。
みのりの体がビクンと反応する。
心臓が飛び出しそうで…
でもみのりの足は立ち上がり、浅井に向かっていた。
会いたい気持ちが
話したい気持ちが
恐さよりも大きかった。
ただ会いたくて
声が聞きたくて
まるで片思いしていた時のような純粋な感情が湧き上がる。
あたしを見たら
浅井さんはどんな反応する…?
清水さんに言った事が
もしも本当だったら…
浅井さんは
あたしに笑顔を向けてくれるかもしれない。
淡い期待を胸に
みのりが口を開いた。
.