ずっと大好き…この恋は秘密 …
「…―――っ」
声をかけようとした時、
みのりより先に浅井に駆け寄る女の子がみのりの目に映った。
「浅井さん!」
きれいに髪をアップした白いコートを着た女の子が浅井を呼び止めていた。
みのりよりも少し年上に見える。
みのりの目から見ても…
可愛い子だと思った。
…誰?
見たくないのに
固まったように2人から目が離せなかった。
「…何?」
浅井の冷たい声。
それでも久しぶりに聞く浅井の声がみのりの耳に甘く残る。
「あたし前ここ通ってて…
…覚えてますか?」
女の子の言葉に浅井がしばらく考え込む。
「あ、覚えてなくてもいいんです…
ただ…今日は伝えたい事があって…
あたし…浅井さんが好きなんです」
『浅井さんが好きなんです』
みのりが伝えたかった言葉を言った女の子に浅井が答える。
「悪いけど…
誰とも付き合う気ないから」
まるで自分が振られたように感じて…
みのりは2人を見ていられなくなり背中を向けた。
急に胸が騒ぎ出す。
さっきまで恐さなんか感じてなかったのに…
急に襲ってきた緊張にみのりは持っていたバッグを抱きしめた。
どうしよう…
振り返る勇気がないよ…
あの子の告白の後に
あんな可愛い子の後に気持ちを伝える勇気なんて
あたしにはないよ…
告白するのが…
恐い…
.