ずっと大好き…この恋は秘密 …


「…帰ろうかな」


しばらく黙っていたみのりが口を開いた。


「里奈付き合わせちゃってごめんね。

しかも中途半端でごめん…」


里奈は何も言わずに首を振った。


教習所を出た時、ちょうど送迎のバスが発車するところだった。


里奈が少し急いでバスに乗り込む。



「…来週にでもドーナツ行こうね」


笑いながら言う里奈にみのりも笑顔を返す。


手を振る里奈を乗せてバスが発車した。


だんだん小さくなるバスを見つめながらみのりも歩き出す。






…浅井さんやっぱモテるんだなぁ


あんな可愛い子振ってたし…



考えてみれば

あたしなんかが浅井さんと少しの間でも一緒にいられた事自体奇跡だったのかもしれない。



それ以上を望むなんて…


どうかしてた。






独り占めしたいとか



好きになって欲しいとか





望みすぎたんだ…




あたし…



振られちゃったんだね…






もう


浅井さんの隣には座れないんだ…





あの優しい腕に抱きしめられる事も


笑いかけられる事も



もうないんだ…









もう



終わっちゃったんだ…








みのりの目から涙がこぼれていた。



一度も教習所を振り返る事なく

みのりは教習所を後にした。







12月の風が

とても冷たかった。






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