ずっと大好き…この恋は秘密 …


「…何?」


透明のビニール袋を受け取りながら聞くと

浅井が笑いながら答える。


「レジの後ろにあったのが見えてさ、
佐倉好きかなぁって思って…

タバコのおまけだけど(笑)」


手の中に光るのは
雪だるまの形をしたシルバーのストラップだった。


ところどころ青い石が組み込まれていてキラキラ光っている。



「可愛い…」


手の中で光る雪だるまを見つめたまま言うみのりを見て

浅井が笑った。


「ガキ(笑)」


隣でハンドルを握る浅井を
みのりがうれしそうに見つめた。




「…そんなにうれしい?」



まだ雪だるまストラップを見つめているみのりを見て浅井が聞く。


「うんっ

すっごくうれしい」


明るい笑顔を返すみのりを見て浅井がバカにしたように言う。



「ただのおまけなんだけど(笑)」



浅井の言葉にみのりが首を振った。








ちっとも『おまけ』なんかじゃないよ…



だってあたし知ってるもん。


浅井さんは決まったタバコしか吸わない事。


高速教習の時吸ってたのも

机に置いてあるのも

Yシャツのポケットに入れてるのも


いつも同じタバコ。



雪だるまのおまけがついてたのは…



いつもとは違うタバコ。


あたしが見たことないタバコ。



浅井さん吸わないくせに…

あたしのために買ってくれた。



だからちっとも『おまけ』なんかじゃないよ。




嬉しくて

嬉しくて…



みのりは手の中の雪だるまを握りしめた。





溶けない雪だるまがみのりの手の中で暖かくなっていく。





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