ずっと大好き…この恋は秘密 …


「どうぞ」


かさばるコンビニ袋を片手に浅井がドアを開ける。


「おじゃまします…」


久しぶりの浅井の部屋に少し照れながらみのりが靴を脱ぐ。



「腹へったなぁ…

佐倉夕飯まだだろ?」


背伸びしながら言う浅井に頷いた。




…なんか告白に緊張しすぎて忘れてた。





夕飯がまだだったと思い出した途端、なんだか急にお腹が空いてくる。


「…佐倉

飲める?」


浅井がテーブルにシャンパンを置きながらみのりに聞く。


「飲めますよ(笑)

もう高校生ですから」


みのりの答えに浅井が苦笑いする。


「まぁ、いっか。

クリスマスだしな。


…帰りはタクシー呼べばいっか。

オレも飲みたいし」



グラスを2つ取り出す浅井に


『泊まっても大丈夫』

と言おうとして止めた。





…だめだよ、そんな事言っちゃ。


なんだかあたしが誘ってるみたいだもん…





クリスマスが大胆にさせるのか

一瞬浮かんでしまった言葉をしまった。



「佐倉、早く座れよ」


浅井に呼ばれて
みのりは少し赤くなった顔を隠しながらイスに座った。



「…乾杯しとくか(笑)」



テーブルに並べられたのはコンビニのものばかりなのに…


980円のシャンパンなのに…


小さなショートケーキなのに…


浅井さんが目の前で笑ってる。





それだけで全部が特別だった。




今までで最高のクリスマス…





差し出されたグラスに
みのりが自分のグラスをそぉっとぶつける。



きれいな音が
二人きりの部屋に響いた。




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