ずっと大好き…この恋は秘密 …
『ドーナツなんかここ最近全然食べてねぇな』
その日の夜、約束通り21時過ぎに浅井から電話がかかってきた。
今朝別れたばかりなのに声を聞くともう会いたくなってしまう。
あの部屋にいる浅井を想像して…
余計切なくなる。
「浅井さんは?
今日変わった事…あった?」
敬語にならないように意識しすぎて
少しイントネーションがおかしくなった。
そんなみのりを浅井が笑いながら答える。
『別にないよ(笑)
普通に教習しただけ。
あ、でも南商の子1人教えたけど…』
…南商?!
「女の子?!」
浅井の言葉にみのりが過敏に反応する。
『ん?
…さぁ。
どっちかな(笑)』
わざとらしくはぐらかす浅井にみのりが黙った。
女の子なんだ…
浅井さん、隣にあたしと同じ制服着た女の子乗せたんだ…
仕事なんだし…
あたしがどうこう言える事じゃないけど…
言ったってどうにもならないのはわかってるけど…
でも、でも…
そんなの…
「やだ…
浅井さんはもう男の人しか教習しちゃダメっ!」
怒りながら言うみのりに浅井が笑いながら言う。
『ごめん(笑)
男だよ。
佐倉…じゃなかった。
…みのりにやきもちやかせたくてさ。
ごめんな?』
優しい声で謝る浅井に…
みのりの胸が苦しくなる。
…ずるい。
浅井さんは絶対にずるい。
あたしが浅井さんを許せない訳ないのを知ってて言ってる。
そんな声で…
わざとあたしをドキドキさせてる…
反則だよ。
悔しいのに…
あたしに勝ち目なんてない。
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