ずっと大好き…この恋は秘密 …
「つぅかさ、
まだ離婚もしてないのになんであいつを選ぶかな。
またつらい思いするのがわかってんのにさ」
倉庫での仕事中
独り言のように圭司が言う。
結局いつも通りのクラシックが店内に流れている。
ゆっくりした落ち着くクラシックがとても心地いい雰囲気をつくる。
「絶対オレの方がいいと思うんだけど?
歳だって近いし」
からかうように言う圭司に背中を向けたまま
みのりが苦笑いする。
倉庫の空気は冷え切っていて
冬の朝の雰囲気に似ている。
張りつめている空気が気持ちいい。
かじかんだ手を暖めていた時
圭司がまた口を開いた。
「それでもあいつがいいんだよな?」
その言葉にみのりが圭司を振り向いた。
真剣な顔で見ている圭司に
みのりが少し微笑みながら頷く。
「うん」
「…絶対に幸せになれよ?
好きになった女が不幸になるなんて…
菜々子だけで十分だからな」
悲しそうに笑う圭司を
みのりが驚いた様子で見ていた。
「…なんでそんな事言うの?」
圭司がみのりの真剣な表情に気づき…
気まずそうに目を逸らす。
「だって…
傍にいたって何もしてやれなかったからさ…」
何もって…
「でもっ…
菜々子さんのこと大切にしてたって店長から聞いたよ?
好きな人に大切にされてたのに
不幸なわけないよ。
あたしだったらそんなに大切にされていたら幸せだよ」
自分が口出しする事じゃない。
わかってても止められなかった。
圭司の悲しい色をした瞳が…
みのりの心を泡立たせる。
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