ずっと大好き…この恋は秘密 …
溢れる言葉が喉をついて思わず出てきそうになった。
だけど…
圭司の後ろ姿を見てやめた。
圭司くんを選ばなかったあたしが言う事じゃないよね…
何を言っても圭司を振った事にたいするフォローになってしまう気がした。
心配だけど…
一緒にいられないあたしが気にかける事じゃないのはわかってる。
あたしの一番は浅井さんで…
それは変わる事はないんだから。
浅井さんを選ぶために
あたしは圭司くんを傷つけたんだから。
振っちゃったけど友達でいたいなんて…
恋人にはなれないけど心配させて欲しいなんて…
そんな都合いい事なんか言えない。
だから
せめてあたしの気持ちが圭司くんに届けばいいって願った。
少しでもいいから圭司くんの心が救われるように…
自分の振った男の子だから同情してる訳じゃない。
振ったあたしに笑いかけてくれる圭司くんを
優しく笑う圭司くんを
素敵な人だって…本当にそう思ったから。
だから…
圭司くんの幸せを心から願った。
あたしを好きになってくれた
とても優しい人の幸せを…
強く願った。
お店に流れるクラシックが静かに響く倉庫で
圭司は口を開かなかった。
空遠くにいる恋人を想う圭司の背中が
とても力強く見えた。
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