ずっと大好き…この恋は秘密 …
穏やかな年越し
12月31日。
浅井は本屋の駐車場でみのりを待っていた。
車の中でタバコを取り出し火を付けようとする。
…が、
みのりの顔が浮かび
タバコをくわえたまま車の外に出た。
…みのりが乗るのに煙かったら可哀想だしな。
車の中との気温差に驚きながらタバコに火をつけた。
白い煙が曇った夜空を
さらに曇らせる。
浅井がタバコを半分ほど吸った時、
従業員用の出入り口が開いた。
「浅井さんっ」
バイトを終えて本屋から出てきたみのりが浅井に元気に声をかける。
浅井がみのりに気づき
手に持っていた携帯用灰皿にタバコを入れた。
「じゃあ行くか」
笑顔の浅井にみのりも満面の笑みで頷く。
外の空気はとても冷たくて風もないのに肌に突き刺さってきて痛いほどだった。
みのりはまたしても里奈の家に泊まりに行くと嘘をついた。
いつもは許さない両親も
高校最後の年という事で多目に見てくれた。
多少の後ろめたさはあるものの…
浅井を目の前にするとやっぱり顔が緩む。
これから始まる時間がうれしくて仕方なくなる。
「浅井さんがタバコ吸ってるとこ久しぶりに見ちゃった」
車に乗り込んだみのりがうれしそうに浅井に言った。
エンジンをかけたままにしていてくれた車の中は暖房が効いてて暖かかった。
冷たくなった体が表面から暖かくなっていく。
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