ずっと大好き…この恋は秘密 …


「はい、どうぞ」


ほかほか湯気を立てるそばを浅井がテーブルに置く。


落ち込んでる様子のみのりに
浅井が笑いながら声をかける。


「…別にそばなんか誰でも作れるから(笑)」




…あたしは作り方すら知らなかったのに?




生のそばをレンジでチンしようとしたみのりを思い出し浅井が笑いをこらえる。



「浅井さんっ!」


「いや、だってありえねぇだろ(笑)

おまえは本当に…」


『バカ』って言いたいんだ…


「かわいいよな」


がっくりと頭を落とすみのりの頭をくしゃくしゃにしながら浅井が笑った。


「…どうせバカだもん」


「すげぇかわいいけど?

はい、いただきます」


結局は浅井の優しい笑顔と言葉に丸め込まれてしまう。


湯気の向こうで微笑む浅井をじっと見つめてから
みのりが気まずそうにポツリと言った。


「…いただきます」


そんなみのりを見て
浅井がニコッと笑った。


「来年はみのりが作れよ?」


浅井の言葉に

みのりが恥ずかしそうに笑って…


頷いた。







浅井さんは

なんであたしが好きなんだろ…


料理も出来ないのに

それすら『かわいい』なんて言われると

さすがのあたしでも少し自惚れちゃうよ。





「みのり、

りんごむいて」


笑いながら言う浅井を見て

苦笑いした。


包丁を握ってりんごとにらめっこしながら来年の豊富を決めた。



『料理をマスターする!』


…浅井さんを見返すために。




『すげぇうまい』


来年の今頃はきっとそう言われてる。



…ように頑張る。




進歩も見られず
いびつにむかれたりんごを浅井が『うまい』と褒めた。



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