ずっと大好き…この恋は秘密 …


「給料があがりますように」


わざとふざけた願い事を声にした。


本当の願い事を隠したくて…



『来年はみのりが作れよ』

『バレンタインにチョコケーキ作って』





…みのりが離れていくのが恐くてそんな事を言った。


約束が絶対じゃない事ぐらい知ってる。


そんな口約束なんにもならない。



だけど…

何か支えになるものが欲しかったんだ。


一緒にいられる約束―――…



みのりが離れていかないのはわかってる。


オレを好きでいてくれるのも…


オレを裏切らない事も分かってる。



それでも…

漠然とした不安が胸に残る。


沙紀の事があるからなのか…

みのりを傷つけた事を今でも悔やんでいるからなのか…


重い不安が心の底にあって拭い去れない。



『罪悪感』


そんなんじゃなかった。




ただただ不安で…

嫌な胸騒ぎがした。



赤信号になり浅井がみのりの手を握る。


一瞬びっくりして…

すぐにうれしそうに笑うみのりに

浅井も笑顔を返す。






みのりが大切で大切で仕方ないから…

だから不安なのかもしれない。



この笑顔を


みのりを…



失うのが怖いから…




.
< 376 / 475 >

この作品をシェア

pagetop