ずっと大好き…この恋は秘密 …
「給料があがりますように」
わざとふざけた願い事を声にした。
本当の願い事を隠したくて…
『来年はみのりが作れよ』
『バレンタインにチョコケーキ作って』
…みのりが離れていくのが恐くてそんな事を言った。
約束が絶対じゃない事ぐらい知ってる。
そんな口約束なんにもならない。
だけど…
何か支えになるものが欲しかったんだ。
一緒にいられる約束―――…
みのりが離れていかないのはわかってる。
オレを好きでいてくれるのも…
オレを裏切らない事も分かってる。
それでも…
漠然とした不安が胸に残る。
沙紀の事があるからなのか…
みのりを傷つけた事を今でも悔やんでいるからなのか…
重い不安が心の底にあって拭い去れない。
『罪悪感』
そんなんじゃなかった。
ただただ不安で…
嫌な胸騒ぎがした。
赤信号になり浅井がみのりの手を握る。
一瞬びっくりして…
すぐにうれしそうに笑うみのりに
浅井も笑顔を返す。
みのりが大切で大切で仕方ないから…
だから不安なのかもしれない。
この笑顔を
みのりを…
失うのが怖いから…
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