ずっと大好き…この恋は秘密 …

元旦だけ休みだった本屋も
2日からは通常に営業する。


お客だった時は便利に感じていたみのりも

いざ働く側になると少しだけ憂鬱だった。



「あ、みのりちゃん

おめでと〜」


年明け早々元気のいい店長に

みのりが会釈をする。


「おめでとうございます」


「今日はそんなに混まないと思うけどよろしくね」


そう笑いかける店長にみのりも笑顔で頷いた。


珍しく店内の担当を任されて
売れた本の補充をしていた時…


今日初めての客が来店した。


「いらっしゃいませ」


人数不足のためレジにかり出された圭司の声が静かな店内に響く。


みのりがレジ近くの棚に移動した時


みのりの耳に女性の声が飛び込んできた。


「ねぇ、

みのりって子…いる?」


その言葉にみのりが振り返った。



「…失礼ですけどどなたでしょうか?」


圭司が丁寧に対応すると
女性がにっこり笑って答える。



「浅井です」




―――…浅…井?



みのりが見つめすぎたのか

「浅井」と名乗る女性が

みのりを振り返った。



「…あなたがみのりさん?」


頷かないみのりを見て
「浅井」さんがそのまま続ける。


「浅井がいつもお世話になってるみたいで…


家内の沙紀です」






―――…ドクンッ






表情が…


体が…


凍りつくのがわかった。


『浅井沙紀』


堂々と『浅井』の名前を口にだした目の前の女性に釘付けになったまま…


体が動かなかった。



この人が…



『沙紀さん』



怖いほど静かな店内のせいで

自分の心臓の音がとても大きく聞こえた。



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