ずっと大好き…この恋は秘密 …
嵐が残した傷跡
『遊び』
『本気じゃない』
『あたしがいるんだから』
『遼太がくれたの』
『あたしのものだから。
…もちろん遼太もね』
沙紀の笑顔が…
沙紀の言葉が頭の中をぐるぐる回る。
遊びだなんて…
そんなの信じない。
沙紀さんの言葉なんか信じない。
だって浅井さんは
『好きだ』って言ってくれた。
何度も何度も言ってくれたもん…
クリスマスにYシャツ一枚で追いかけてきてくれた。
『みのり』って
名前で呼んでくれた。
りんごを『うまい』って言ってくれた。
『サヨナラ』した事、つらそうに謝ってくれた。
いっぱい…
いっぱいキスしてくれた…
そんな浅井さんを疑えるわけない。
でも…
なんで…?
なんで…
いくら自分が吸わなくても
沙紀さんにあげて欲しくなかった…
雪だるまのタバコ…
まるで浅井さんの優しさを
沙紀さんと2人で分けたみたいで…
嫌だよ…
雪だるまがくっついてたから買ったんだよね?
「佐倉が好きそうだったから」って言ったよね…?
それとも…
初めからあのタバコは沙紀さんにあげるつもりだった…?
たまたま雪だるまがついてただけ…?
…信じるって
決めたばかりなのに…
みのりは隣にある自販機に身を預けた。
自販機にあたってる右の肩が少しだけ暖かくなる。
疑う言葉ばかりが頭に浮かんで…
目をギュッとつぶった。
沙紀さんと…
どんな話をしたの?
どんな顔で話したの?
自販機の音が頭に響いていた。
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