ずっと大好き…この恋は秘密 …


「佐倉!」


自販機に寄りかかって
ぼーっとしていたみのりの肩を

圭司が力強く引き寄せた。


圭司の声に一瞬びっくりして…

そのまま目を伏せたみのりを見て圭司が心配そうに声をかける。



「…大丈夫か?

何か言われた?」


心配してくれる圭司に頷く事もできなかった。


思わず出かかった言葉を飲み込むのが精一杯で…





…甘えていいわけない。




そう思った。




優しい圭司くんを

利用しちゃだめ…






圭司を傷つけた罪悪感がみのりの中にはまだあって…


だから言えなかった。



「…大丈夫!

さ、仕事戻んないと店長に怒られちゃうよ!」


笑顔を作ってそう言った。


「寒いっ(笑)」


おおげさに笑って店内に小走りで向かう。


圭司も小さくため息をついてみのりの後ろを歩き出した。






…浅井さんに聞けばいい。


沙紀さんと何話したのか

なんでタバコをあげたのか…



『でもなんかやだ』って…


『あげないで欲しかった』って…


『しかも色々言われたし』って…


ちょっと怒りながら言えばそれだけの事なのに…




その後で

『でも平気』って笑えばいいのに…





なのに…


『遼太はあたしのもの』


沙紀さんの言葉なんか…


あんなのただの脅しなのに…









一言も返せなかった。










いけない事をしてるのは…


あたしだから。




だから言い返せない。




『奥さん』の『沙紀』さんには…


…かなうわけない。





店内の温かい空気がみのりの体を温めていく。



暑いほどの暖房の効いた店内で


みのりの表情だけが

凍ったままだった。




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