ずっと大好き…この恋は秘密 …


『…え、別に何も?』


その言葉を聞いた時

少しだけ違和感を感じた。




みのりが溜めた少しの間…

…オレが動揺してたから変に聞こえただけか…?



『そういえばあたしずっと浅井さんのジャージ返してないんですけど…(笑)』


少しだけ感じていた疑問を
みのりの明るい声が塗り替えていく。




…気のせいか。



少し安心しながら浅井が答えた。


「そういえばそうだな(笑)

別に急いでないしうちに来る時思い出したら持って来てくれればいいよ」


『うん…』




……。


浅井が少し黙った後口を開いた。


「何かあったんだろ」




気のせいじゃ…ないよな?



みのりの言葉の端々に見える不安な気持ちが浅井に伝わってくる。



『だから何にもないよ(笑)

あ、そういえば今日祐ちゃんがお店に来てくれたんだよ』



すぐに話をすり替えてしまうみのりに浅井が小さくため息をついた。



『浅井さんこそどうかしたの?

なんか変だよ?』


みのりの言葉に浅井が少しだけ動揺する。



「普通だよ…


みのり明日バイト何時から?」


『明日は急に休みになったんだ。

来週のシフトと交換して欲しいって人がいて…』



お互いが

自分の気持ちを隠すのに必死だった。


動揺を気づかれないように必死で平然を装って会話をする。





相手を想うあまり…


大切なのに…大切だからこそ



ただ…

相手を守ることだけを考えて…






少しのサインを見逃した。





「じゃあ明日うち来いよ。

迎えに行くから」



浅井の言葉に

電話の向こうのみのりが黙った。




「みのり?」


心配そうに呼んだ浅井の声が

ケータイの中に吸い込まれていく。





.
< 391 / 475 >

この作品をシェア

pagetop