ずっと大好き…この恋は秘密 …


『じゃあ明日うち来いよ。

迎えに行くから』


浅井の言葉にみのりの胸が騒ぎ出す。


思い出したくもないのに…


沙紀の勝ち誇った顔が頭に浮かぶ。





『あの部屋はあたしのなんだから』


全部…

全部忘れたいのに…




沙紀の言葉一つ一つが鮮明に思い出せる。


それどころか

頭の隅に入り込んだまま離れない…




『…もちろん遼太もね』


沙紀の言葉が

みのりに重くのしかかる。








『…みのり?』


浅井の心配そうな声ではっとした。


「あ…ごめん」


『なんだ(笑)

聞いてなかった?


明日迎えに行くからうち来るだろ?』




……。




「あの…明日は…

あたし行きたいところがあって…

だから…家じゃなくて出掛けたいかなって…」




…違う


浅井さん…

ごめんなさい…




でも

だって行けないよ…




『あたしのもの』


沙紀さんの声が…

頭から離れない…




今は

浅井さんの部屋には…




行きたくない…



『いいよ。

珍しいな、みのりが行きたいとこあるなんて言うの。


どこ?

どこでも連れてってやるよ』


行き先も決めずに言った言葉に
浅井が優しく返したためみのりが焦って答える。


「えっと…

海!」


思わず口をついて出た言葉に後から顔が緩む。





海…

この時期に?


ありえない…



『海って…

今冬だけど(笑)』


心の声を読まれたような浅井の返事に
みのりが苦笑いする。



『10時頃迎えに行くからいっぱい着込んで来いよ?』


「え…あ、うん」


想像もしていなかった浅井の言葉に

みのりが慌てて頷いた。




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