ずっと大好き…この恋は秘密 …
別に言ったっていいのに…
黙ってる必要も義務も
あたしにはないんだし…
言えば…
浅井さんはあたしをきっと守ってくれる…
沙紀さんを…責める。
沙紀さんに二度とあたしの前に現れないように言ってくれる。
それに…
話せば
離婚の話も早く進むかもしれない。
そうすれば浅井さんとあたしは
普通の恋人になれて…
友達に紹介もできて…
いい事ばっかりじゃん…
話せばいい。
浅井さんはあたしの味方になってくれるんだから。
そうすればいいのに…
だけど…
だけどあの時
沙紀さんが会いに来た時…
タバコを持つ沙紀さんの手が
震えてた…
理由はわからないけど…
ただ寒かっただけかもしれないけど
確かに震えてた。
それだけが引っかかって…
あれからずっと気になってて…
両手でタバコを持って
必死に震えを押さえようとしてた沙紀さんを見て…
一瞬だけ沙紀さんの顔を見た。
わざと造ったような意地悪な笑顔を浮かべてた沙紀さんは
あたしと目が合った瞬間…
目を逸らした。
それを見て
あたしは…
何も言えなくなったんだ…
『先に浅井さんを一人にしたのは沙紀さんじゃない』
ずっと思ってきた事を…
言えなくなった。
ひどい言葉ばかりを並べた沙紀さんが…
なんだか弱く見えて…
『別れてよ』
沙紀さんは…
なんでそう言わなかったんだろう…
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