ずっと大好き…この恋は秘密 …
「佐倉すげぇ悩んでるよ」
圭司の口から出たみのりの名前に浅井がはっとする。
あの時…
ケータイ越しに聞いたみのりの声に違和感を感じた…
なのに…
なんで聞かなかった?
気づいたのに
…沙紀の事を隠すのに精一杯で…
オレは…自分の事しか
見えてなかった―――…
「…みのりは…
おまえには
自分から話したのか?」
「…オレが問い詰めたからな。
現場も見てるし…」
手に持ったまま静かに灰になっていくタバコを
浅井が灰皿に入れる。
灰皿の中で
まだ消えきらないタバコが
細い白い煙を立ち上らせる。
「言っとくけど…
あんたよりオレを信用してるとかじゃねぇからな。
勘違いするなよ?」
呆然としてる浅井に圭司が言う。
その言葉を聞いて
浅井が圭司を見た。
「…わかってるよ。
オレに気を使って言わなかった事くらい」
浅井が4本目のタバコを取り出し口にくわえる。
火をつけようと左の胸ポケットからジッポを取り出し…
その手が止まる。
ジッポを見つめて…
そして
圭司を見てニヤリと笑った。
「おまえこそ勘違いすんなよ?
…みのりが好きなのはオレだ」
そう言ってタバコに火をつける浅井に…
圭司が苦笑した。
「…のろけてろ(笑)
…油断してたら奪ってやるからな」
圭司に返事をしないまま…
圭司越しに従業員通路を見た浅井が微笑む。
「時間切れだな」
浅井の視線の先に
寒そうに白い息を吐くみのりの姿があった。
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