ずっと大好き…この恋は秘密 …
募る不安…
夜、みのりのケータイが鳴った。
登録していない番号に戸惑いながらみのりが電話に出た。
「はい?」
『あ…佐倉さん?
浅井沙紀です』
―――…
電話に出る前から…
着信画面に並ぶ11ケタの数字を見た時から
なんとなくそんな気がしていた。
『沙紀さんかも…』
何の根拠もなくそんな事が頭をよぎった。
「……」
『ごめんね。
番号遼太から聞いて…』
沙紀が電話の向こうでどんな顔をしているのか想像する。
みのりの頭に…
あの無理して作ったような作り笑いが浮かぶ。
「嘘つかないでください」
みのりが怯まずに返すと
沙紀が少し黙った後に口を開いた。
『…随分遼太の事信用してるのね。
そう、嘘。
悟のケータイ見たの』
「…なんの用ですか?」
嘘をすんなり認めた沙紀に
みのりが何も責めずに聞く。
『…遼太と
…別れる気になった?』
沙紀の言葉の微妙な間が気になりつつもみのりが首を振る。
「いえ」
『…そんなに遼太が好き?』
沙紀の言葉に
みのりの鼓動が早くなる。
ドクン、ドクンと早いリズムを刻む心臓の鼓動が少し気後れをさせる。
「好きです。
浅井さんが…大好きです」
高鳴った胸の理由は
電話の相手が沙紀さんだからか
いけない恋を認めたからか…
自分でもよくわからなかった。
『浅井さんが好きです』
でも…
この気持ちだけは
誰にも負けない―――…
負けたくない。
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