ずっと大好き…この恋は秘密 …




『…そう』


電話の向こうで沙紀が力なく頷く。


「沙紀さ…」


『来週の水曜日、放課後教習所に来てもらえる?

そこで…きちんと話し合いたいんだけど』






『沙紀さんだって好きなんですよね?』


そう言おうとしたみのりの言葉を沙紀が遮った。


「教習所で…ですか?」


教習所は…

浅井さんがいる…


迷惑はかけたくないよ…


『だって遼太も当事者なんだし…

…遼太に迷惑かけるつもりはないから安心して?』


沙紀の声のトーンが少し下がる。


不思議な違和感を感じて
みのりが聞き返そうとした時


『じゃあ水曜日に』


そう言って電話が切られた。


一方的に切られて
『プツ』と言う耳障りな音が聞こえる。



『遼太には迷惑かけるつもりはないから』


なんだか沙紀の様子がおかしく感じた。





…浅井さんに迷惑かけたくないなら他の場所にすればいいのに…


なんでわざわざ…


沙紀の意味不明な言葉にしばらく頭を悩ませていると再びケータイが鳴った。


リトルマーメイドが気持ちを明るくさせる。


「はいっ」


みのりが言葉の通り飛び出ると

浅井が電話の向こうで笑った。


『元気だな(笑)』


その声にほっとする。


元気じゃないけど…


1週間後に控えた沙紀との話し合いがみのりの気持ちを重くしていた。


話し合いって…



あたしも沙紀さんも気持ちを譲らないなら平行線だよ…


お互いの気持ちがわかってるのに何を話し合いたいんだろ…






考えれば考えるほど不可解な沙紀の言葉がみのりの頭をぐるぐると回っていた。






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