ずっと大好き…この恋は秘密 …


以前

浅井さんから聞いた事がある。


『結婚に逃げたのはオレなんだ』って…


あの時は

『事故の恐怖』から逃げたんだって事だと思ったけど…


でも…

本当は…


浅井さんが本当に逃げたかったのは


『お父さん』からだったの…?


『家族』から逃げたかったの?



「あたし遼太のお父さんには認めてもらえていないの…

何回か遼太に内緒で会いに行ったけど会ってくれなくて…


自分でも疲れちゃって…


遼太は…あたしを想ってくれてないのに何やってるんだろうって…


落ち込んでる時…

たまたま崇に会ったの。

最後の彼氏だった人に…


崇は全部話を聞いてくれて…

一緒にいてくれて…

あたしは救われた。


遼太と別れて一緒になろうとも言ってくれた。


だけど離婚したら本当に遼太が1人になっちゃう…

家族から引き離したあたしが…

自分だけ逃げるなんて許されない…

だから…ちゃんとお父さんに許しをもらったらあの部屋に戻ろうって…


思ってたのに…」


沙紀の目から

大粒の涙が落ちていく。




…そんな時に
あたしが浅井さんに告白したんだ…


沙紀さんが浅井さんのために崇さんのプロポーズを断った時に…


浅井さんとちゃんと向かい合おうとした沙紀さんを…

あたしが邪魔したんだ…




「先に裏切ったのはあたしなのに…

佐倉さんを好きになった遼太が許せなくて…


それで佐倉さんにあんな事言ったの…


1人じゃ『別れて』って言える自信がなくて…

崇についてきてもらって…


情けなくてやになっちゃう…」


目にたまった涙を指で救いながら沙紀が少し笑う。




沙紀の笑顔を見て







何を言おうとしているのか…




ようやくわかった。






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