ずっと大好き…この恋は秘密 …


思い返せば沙紀の行動は確かにいつもおかしかった。


強気の中に弱気な部分がいつも隠しきれていなかった。








震えた手で持つタバコも

弱々しい細い声も


言葉の間も…


全部あたしを責めきれていなかった。



沙紀さんは

ずっと自分を責めていたから…


あたしを責める事がなかなかできなかったんだ…


浅井さんに会わなかったんじゃない。


怖くて会えなかったんだ。


憎まれてるんじゃないかって怖くて…


浅井さんに内緒でお父さんにまで会いに行って…


浅井さんを1人にしないために崇さんのプロポーズも断って…


きっと気持ちは動いてたはずなのに…





浅井さん…


浅井さんは勘違いしてる。


沙紀さんは浅井さんが思うような人じゃないよ。


出ていったのは浅井さんに飽きた訳じゃない。


浅井さんが好きだから…

だから不安になったんだよ。


あたしにもよくわかるよ。

沙紀さんの気持ちは…



想い返してもらえない不安な気持ちは

よく分かるよ…




「…佐倉さんにお願いがあるの」


沙紀の言葉が耳をすり抜けていく。


「あたし…

もう一度頑張るから…」



浅井さんどうしよう…



「ちゃんとお父さんにも会って遼太を家族に戻すから…」



どうしよう…



「もう遼太を1人にはしないから…」



頷かない理由が…



「遼太と…



別れて―――…」




見つからない…





穏やかな風が

2人の髪を揺らした。




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